ガバナンス
コンプライアンスを重視し社会的に公正な事業運営を行う
コンプライアンスを重視し社会的に公正な事業運営を行う
当社は、「予防」と「対処」の2つの観点からコンプライアンス施策を講じ、実効的なコンプライアンス運用体制の確保を図っています。
ダイセルグループでは、これまでの「グループ行動方針」を廃止し、従業員一人ひとりがあらゆる行動において常に意識し実践していくものとして「ダイセルグループ行動指針」を、さらにすべての企業活動領域で普遍的に適用する規範として「ダイセルグループ倫理規範」を新たに制定しました。
新しい倫理規範では、品質に関する不適切な行為を起こさせないためのお客様との契約条件順守の徹底や、社会からの要求が急速に高まりつつある人権・環境への配慮、サプライチェーン全体での倫理規範の順守などが新規要素として追加されています。
当社でも、行動指針および倫理規範を確実に実践していくための解説手引書として「私たちの約束」を全面改訂しました。社会から信頼され期待される事業運営を行うとともに、良き企業市民として社会に貢献する企業グループであることを目指します。
2023年度、従業員のハラスメントについての理解を深め、撲滅への意識をさらに高めるため、「職場におけるハラスメント撲滅キャンペーン」を実施しました。コンプライアンス・リスク管理担当役員からのメッセージの発信に加え、部門長対象のリーダーシップ研修、全従業員を対象としたeラーニング教育、具体的事例を用いた部内でのグループディスカッションを行い、職場におけるハラスメント行為の防止をあらためて呼びかけました。
引き続き当社では、グループで働くすべての従業員の多様性、人格、個性を尊重し、差別やハラスメントのない誰もが働きやすい職場環境の実現に向けて、積極的な取り組みを行っていきます。
コンゴ民主共和国をはじめとする紛争地域(CAHRAs※1)における錫、タンタル、タングステン、金(通称:3TG)の採掘や取引から得られる利益は、重大な人権侵害を引き起こす武装勢力や反政府勢力の資金源となります。また、鉱山廃棄物による土壌や河川の深刻な汚染などの環境破壊に加えて、コンゴ民主共和国南部のコバルト鉱山は児童労働の温床となっているとも指摘されています。
当社を含むダイセルグループは、上述の国際的な懸念をはじめとするOECD Annex IIに代表されるリスク※2を重要な経営課題と認識し、CSR調達アセスメントシート(SAQ)に加えて、紛争鉱物に特化した調査を行っています。
紛争鉱物(錫、タンタル、タングステン、金)、あるいは同様に人権侵害などのリスクの関与が懸念されるコバルト、マイカについて製造自体および製造過程で使用されている場合は、製品への残留状況の調査を行うとともに、原料サプライヤーに対しては定期的に紛争鉱物調査を依頼して、入手した調査結果を確認し、商品の原料として使用しないよう努めます。
また、原料サプライヤーから定期的に入手した調査結果に基づいて当社のCMRT※3およびEMRT※4情報の更新を行い、提供します。
当社の事業を取り巻く多様なリスクに対応するため、CSR委員会を設置して定期的にレビューを実施しています。委員会では、リスクを「経営戦略リスク」と「業務リスク」に分類し、対応優先度に応じたリスク管理活動を展開しています。今後も、事業環境、社会情勢の変化に着目し、グループ全体でリスクの低減に向けた活動、対策に取り組んでいきます。
また、その運用の実効性を向上させるため、PDCAが十分に回っているか、運用上の課題がないかを各部門および各グループ会社に確認するヒアリングを実施しています。今後もより良い仕組みの構築を目指していきます。
当社では、南海トラフ地震や首都直下型地震などを想定し、事業継続のためのBCP基本文書および各種マニュアルを策定しています。またこれらに加え、実際に発生したサイバー攻撃や工場停電などに対する会社としての対応記録を作成し、今後類似の事象が発生したときに備え、事業の早期復旧・継続を図ることができるような体制整備も行っております。
当社は、「内部統制システム構築の基本方針」を定めています。この方針に基づき適正な業務運営の確保を図るとともに、毎年グループ全社で自主監査を実施し、各部門および各グループ会社に対して、各組織の内部統制が有効であることを保証する報告書の提出を求めています。また、内部統制の有効性を評価する内部監査を定期的に実施するとともに、親会社であるダイセルと協力してグローバル監査体制を敷き、監査品質の向上も図っています。