Highlights 2024
世界規模での異常気象や大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題は昨今の最重要課題になりつつあります。本格的な脱炭素化に向けた法整備が世界的に着実に進んでいますが、2030年以降には更なる法規制の厳格化が図られ、企業の環境配慮型製品へのシフトが急務になると見込まれます。
このように、世界全体で急速に変化する環境ニーズやトレンドに対応して更なる環境ソリューションを展開していくために、当社は2024年度より新たにDURACIRCLE®ブランドを立ち上げました。
エンプラのリーディングカンパニーとして、エンプラ100%循環化に本気で挑戦するという意気込みを表現したDURACIRCLEは、メカニカルリサイクル、ケミカルリサイクル、バイオマスを介した炭素循環、CO2の再利用、その他これらに関連するすべての環境配慮型製品、技術、サービスを拡充して、サステナビリティ価値をお客様と共に創造することを目指すものです。
「DURA」は「長持ちする」という意味をもつ“DURABLE”からヒントを得て採用しており、エンプラの耐久性等を表現しています。これに「循環」を想起させる“CIRCLE”を組み合わせ、DURACIRCLEと名付けました。
過去には、バイオマスを介した環境ソリューションの一つであるDURACON® bG-POMやLAPEROS® bG-LCPなどをご紹介してきましたが、今回はリサイクルに焦点を当てて当社の環境への取り組みについてご紹介します。
廃プラスチックを回収し製品の原料として再利用(リサイクル)することで、環境負荷の低減に大きく貢献できますが、回収素材の質、量の確保や素材を繰り返し利用することによる樹脂性能の低下、汚染や金属などの異物混入といった大きな課題があります。
さらに、リサイクルをする範囲が産業廃棄物から一般廃棄物へ広がるほど、廃プラスチックの汚れは増し、再利用が難しくなることも大きな課題の一つとなります。
※1 PIR:Post Industrial Recycling 最終消費者に渡る前の製造工程で出る端材などをリサイクルすること
※2 PCR:Post Consumer Recycling 最終消費者に渡った後のものをリサイクルすること
当社は、このようなリサイクルが抱える課題に対するエンプラソリューションの一つとして、リコンパウンディング・サービスや、PCR由来のリサイクル原料を活用した樹脂の展開を始めています。
お客様の製造工程で発生するスプルーやランナーなどの成形端材を廃棄することなく、当社で回収および粉砕し、再度コンパウンディングおよびペレット化することで新たな製品として生まれ変わらせる取り組みです。
このリサイクル材を原料の一部に用いることで、製品品質を維持しつつバージン材の使用量を削減することができるほか、製品中のカーボンフットプリントの削減にもつながります。
このサービスは2023年度より開始していますが、課題の一つであった回収に関しては、お客様のご協力により廃プラスチックを安定的に回収できるような体制が整いました。また、品質安定化に関しても金属除去に関する技術を進展させ、粉砕する際の粉砕機の選定や粉砕条件の試行錯誤による最適な条件設定を行うことで金属混入の発生率が格段に減少しました。一部の特定の粉砕機における粉砕条件については、成形後の廃材がまだ熱い状態のうちにリグラインドすることで、冷えた状態で粉砕するよりも粉や金属の発生を減らすことに成功しています。金属除去に関しては、外部の会社と協力しながら新規除去技術の導入を含めた更なる検討を進めていく予定です。
PBTは、耐熱性や電気的特性に優れており、自動車部品、電機・電子部品などで幅広く採用されています。DURANEX® rG-PBT GHB336は、市場から回収したPCR材由来の再生PET原料を約30%含有した上市グレードで、プロダクトカーボンフットプリントの削減やリサイクル原料使用率の向上に貢献します。
当社は、他のエンプラ樹脂に関してもPCR原料を活用した環境配慮製品を市場展開していく予定です。
当社は、今回ご紹介したメカニカルリサイクルに対する取り組みだけでなくケミカルリサイクル、バイオマスを介した炭素循環、CO2の再利用、製品から技術サービスに至るまであらゆる環境ソリューションを展開しています。
お客様が懸念される環境配慮製品に対する供給安定性、品質安定性、性能などの不安を払拭し、お客様が望む多様な環境ニーズに寄り添うために、当社はこれからも包括的な環境ソリューションを提供し続けます。それを実現するのがDURACIRCLEなのです。