Highlights 2023

02 次世代通信技術に大きく貢献する
LAPEROS® LCP S125Pグレード

SDGs 3SDGs 9SDGs 12SDGs 13

IoT技術の進化により、スマートフォンやPCだけでなく自動車、医療機器などのあらゆるモノが
インターネットに接続する「つながる社会」が到来すると言われています。
「つながる社会」の到来は、その先にある「サステナブルな社会」にも通じるものです。
しかし、「つながる社会」を支える次世代通信技術には、電波の損失が起きやすいという課題もあり、
通信機器向けの素材特性が重視されます。

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次世代通信技術の課題

「つながる社会」の実現を支える5G・6Gなどの次世代通信技術では、従来の周波数の幅(帯域幅)より広い高周波を使用することで超高速通信を実現します。しかし電波は高周波になるほど、熱などの他のエネルギーに吸収されて「伝送損失」を起こす性質があります。この伝送損失による電波の減衰は通信遅延に繋がるため、「つながる社会」の実現のためには、この損失を抑えることが重要になります。
「つながる社会」は、遠隔医療による地域医療格差の解消や自動運転による安全な交通を可能にするため、「サステナブルな社会」の実現に必要不可欠です。そのため、この伝送損失は社会課題の一つになっていました。

LAPEROS® LCP S125Pの開発

この伝送損失を抑えるために、通信機器内の素材としては誘電正接・比誘電率がともに小さい素材特性が求められています。そして当社は、その要求に沿う素材として新たに「LAPEROS® LCP S125Pグレード」を開発しました。
このS125Pグレードは一般的なグレードと比べて約1.0以上の低誘電率化を実現しており、伝送損失を抑えられます。また、LCP本来の特性である流動性と、低誘電・低誘電正接が両立していることも大きな特長です。
従来は比誘電率・誘電正接を下げるための添加剤を加えることによって流動性が下がってしまうという課題がありましたが、開発段階で分析を重ね、添加剤の条件を最適化することによって、低誘電・低誘電正接と高流動性を両立することに成功しました。これにより低誘電・低誘電正接を実現しながら、通常のLCPと同様にコネクタなどの小型部品も成形しやすいものになっています。
このLAPEROS® LCP S125Pグレードは、今後さらに高速通信が普及するにつれてより多くの機器で活躍し、「つながる社会」の実現を支える樹脂になると期待されています。
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「つながる」ことで実現する「サステナブルな社会」

高速通信技術によって「つながる社会」が構築されることで、より便利で安心・安全、そしてサステナブルな社会も実現可能になると見込まれています。
例えば、遠隔医療による地域医療格差の解消や、自動運転技術の高度化による安全な社会の実現、ドローンやセンサーでのリアルタイムな映像分析による災害・犯罪に強い安心な街づくり、人の移動の減少や物流の最適化によるGHG排出量削減が期待できます。

当社は今回新たに開発した低誘電・低誘電正接のLAPEROS S125Pグレードを通じて次世代通信技術の課題解決に貢献し、「つながる社会」と「サステナブルな社会」の実現に寄与していきます。

figure LAPEROS「つながる社会」「サステナブルな社会」
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今回新たにS125Pグレードを開発したことで、当社としては比誘電率2.5~10超の幅広い製品群を揃えることができました。今後、高周波通信が普及するほど市場のニーズが多様化することが予測されますが、幅広い要求に対して最適なソリューションを提供する準備が整ったと言えます。
また、高速通信分野における素材に求められる機能特性としては、今回紹介した低誘電・低誘電正接のほかにも、電磁波シールド性(ノイズ対策用)や高熱伝導性(機器の放熱対策用)などもあります。こうしたニーズに対しても、当社はこれまで培ってきたポリマー技術やコンパウンド技術を駆使して更なる素材開発を進めることで応え、幅広いアプローチで次世代通信技術を支えていきます。