2020年度の活動ハイライト 02

LAPEROS®LCPが
S475 グレードで
UL追加認証取得

再生材比率80%でも
製品の要求品質を実現

関連するSDGs項目

ポリプラスチックスでは、お客様からの資源の有効活用へのニーズを受け、LAPEROS®LCPのS475グレードについて、「再生材を総量の80%含んでもバージン材(再生材を含まない材料)と同等の品質を持つ(物性を持つ)」ことを証明するUL認証※1を追加取得しました。

※1 第三者製品安全/環境評価機関のULによる認証で、北米向けの安全要求事項に製品が適合していることを示すもの

LAPEROS®LCP再利用へのニーズ

LAPEROSは薄肉・高流動性が特長の、スーパーエンプラの代表です。優れた耐熱性と機械的強度、薄くなればなるほどその強度が増すという特異な性質を持ち、高い寸法精度も誇ります。その特性により、タブレット端末やスマートフォンなど、小型化が進む最新IT機器の超小型精密コネクターに多く利用されています。
通常、部品を成形する際には、付随する部品としてスプルーやランナーが必要となりますが、これらは成形後には廃棄されます。製品の小型化が進めば進むほど、スプルーやランナーの量が製品そのものの量よりも多くなり、廃棄率が上がってしまうという課題がありました。
資源の有効活用への社会的なニーズの高まりも背景となり、LAPEROSをお使いいただいているお客様から、スプルーやランナー部分を再生材とし、製品成形時に使用する樹脂量の80%までその再生材を使えるようにしたいというご要望をいただいていました。

認証取得に向けて

スプルーやランナーは成形時に高熱やせん断(混合時や高速で射出される時に材料にかかる力)などがかかるため、それらを再生材として使用すると、材料の品質に影響を及ぼす可能性があります。お客様からのご要望に応えるためには、再生材を含んでも安心して使っていただける品質があることを確かめ、証明する必要がありました。
そこで当社は、「再生材を総量の80%含んでもバージン材と同等の品質を持つ(物性を発揮する)」ということを証明するULの追加認証の取得に踏み切りました。
追加認証にあたっては、認証に求められる品質を再生材比率80%でも実現することが可能かどうか、ULへ申請する前に社内で確認する必要があります。
そのためにまずはバージン材で成形を行った後、再生材(高熱やせん断などの負荷を経た材料)を作製します。この再生材とバージン材を規定量で混合した試験片を成形し、バージン材100%の場合と対比して物性が同等かどうか、物性試験を通して確認していきます。

CHECK POINT

ULの追加認証取得のプロセス※2

社内での確認

ULへの申請

ULへの申請

社内での確認

このように、再生材での認証取得にあたっては、再生材を一度作る必要があり、また試験結果もバージン材と対比する必要があることから、バージン材で認証を受ける際よりも多くの工程が必要となります。
それらの手順を踏み、S475グレードは無事に「再生材比率80%でも要求される品質を実現できる」ことを示すULの追加認証を取得することができました。

イエローカード

イエローカード※3(UL認証の証明書)

※2 一般的なプロセスの概念図であり、実際のプロセスは異なる場合があります。

※3 本キャプチャの情報は、2021年1月27日時点における情報です。画像はUL LLCの商標です。イエローカードの最新の情報はこちらをご覧ください。https://iq.ul.com/ul/cert.aspx?ULID=499586(Product iQの閲覧にはユーザー登録が必要です)

CHECK POINT

認証取得後の監査への対応

UL認証を取得すると、UL監査員による定期的な工場監査が行われ、認定を受けた通りに製品が作られているかどうかが確認されることもあります。UL監査員から指示を受ければその際にも試験片を製作し、ULの試験所へ試験片を提供します。認証を継続するためには、ULの試験所で行われるこの検査に合格することが必要です。

資源の有効活用と製品品質の両立を目指して

資源の有効活用に関する社会的要請は、今後より一層高まっていくものと思われます。製品の品質保証の観点からいえば、バージン材のほうが容易かつ確実に品質を保証することができます。しかし一方でお客様、ひいては社会からの資源の有効活用へのニーズに応えるため、より高い再生材比率を持ちながら、なおかつ安心してご利用いただける高い製品品質も同時に併せ持つ樹脂を提供していく必要があります。
今後も当社は、エンプラNo.1のソリューションプロバイダーとして、資源の有効活用と製品品質の両立に向け、今回のような認証取得や新製品の開発・提案に積極的に挑戦し、持続可能で豊かな未来社会の形成に取り組んでいきます。