2018年から始まった「富士工場再構築プロジェクト」は、2021年に新たな段階に入りました。
50年間で培ったポリプラスチックスの製造技術に新たに「ダイセル式生産革新」の手法を融合させ、生産高度化を進めるとともに、工場全体の革新的な省エネを実現します。
生産高度化に向け、新手法を融合
当社では、2018年に基幹工場である「富士工場」の未来のあり方を模索・実現する「富士工場再構築プロジェクト」を発足し、4つのフェーズを設けて“生産高度化”をテーマとする取り組みを推進してきました。
2021年から始まったフェーズⅢは、「英知の結集とさらなる技術革新」の段階と位置づけており、主な取り組み課題として、生産安定化・品質高度化・業務効率化を掲げています。
2020年10月に当社がダイセルの100%子会社となったことを受け、当プロジェクトにおいてもグループのシナジーを活かし、「ダイセル式生産革新」を取り入れています。これにより、これまでにない新たな視点で課題が抽出され、生産高度化の実現に向けて大きく前進しています。
“人”にフォーカスする独自のアプローチ
「ダイセル式生産革新」は、1990年代半ばにダイセルの網干工場で生まれた生産改革のアプローチで、大幅な生産性向上とものづくりの基盤強化を目的としています。“人”に着目する点が特徴で、生産現場の潜在的なトラブルのミエル化や問題解決の切り口をすべて人を起点に考えます。根底となるこの考え方を元に、生産課題のミエル化、生産の安定化、運転の標準化、システム化という4段階で構成されるこの手法は、製造業を中心に注目を集め、導入した多くの企業で生産改革を実現してきました。ダイセル網干工場でも、この革新によって約3倍の生産性改善と約60%の省人化を実現しています。
徹底的な「ミエル化」で品質向上へ
この生産革新においてポイントとなるのは、人に着目した徹底的な「ミエル化」です。例えば当社では従来から「現状課題の把握」を行ってきましたが、オペレーターの負荷のような、トラブルそのものにフォーカスしただけではなかなか見えてこず、これまでは十分に検証されていなかった“潜在トラブル”も含めて、工場全体でミエル化を行うようになりました。
こうした徹底的なミエル化を通じてムダやロスを取り除くことで、若手従業員もベテラン従業員と同じレベルのオペレーションが可能となり、その結果、各工程の精度が上がり、生産安定化と品質高度化につながります。これにより、富士工場再構築プロジェクトにおいて当初の想定を超える成果が期待されています。
“人”にフォーカスし潜在トラブルまでミエル化
このように、人に着目することで明らかとなった課題を、ルールや仕組み作りなどのソフト面と、設備増強などのハード面の両輪で解決していきます。
環境負荷の低減にも貢献
また、製造現場でのムダ・ロスの削減は、生産性の最大化に寄与し、さらに原料の使用量やエネルギーの削減も可能になります。当プロジェクトでも、コストやエネルギーバランスを加味して運転最適化を図り、カーボンニュートラルを見据えた省エネにも大きく貢献することが見込まれています。
同本部 生産統括センター 富士工場 生産部長 西川 雷太(写真左)
富士工場での成果を海外工場にも
プロジェクトの最終的なゴールは、富士工場の生産高度化の結果もたらされる生産技術を、海外の各工場に展開することです。富士工場を技術革新の情報発信拠点とし、海外工場への技術導入を進め、グループ全体での生産性向上と環境負荷低減を目指していきます。
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